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朝まだき御法の庭に降る雪は
空より花の散るかとぞ見る

歌の意味
まだ朝早いうちに、法会の庭に降る雪は、空から花が散ってくるのかと見えることだ。
鑑賞
巻第十九 釈教歌 1248

詞書「雪の朝聞法といへる心を詠める」
 雪の朝に法を聞く、という題の心を詠んだ歌である。朝早く御法の庭に降る雪は、空から花が散るのかと見る、と詠む。法華経では仏の説法の時に天から花が降るとされ、雪の朝に法会の庭へ降る雪を、その天の花に見立てている。雪を花に見立てる和歌の常套の趣向を、仏法の場に生かした歌である。
 作者の「中原清重」は平安時代後期の官人で、伝記の詳細は明らかでない。
 本巻の第千二百三十九首と第千二百四十六首は説法の場に降る花を詠み、本歌はその花を雪に見立てている。とくに第千二百三十九首の三句「法の庭は」と本歌の二句「御法の庭に」は同じ語を用いている。

 初句「朝まだき」は、まだ朝早いうちに、の意である。
 二句「御法の庭に」の「御法の庭」は仏法を説く法会の場である。本巻の第千二百三十九首の三句「法の庭は」と同じ語である。
 三句「降る雪は」は、降ってくる雪は、の意で、詞書の「雪の朝」を受けている。
 四句「空より花の」は、空から花が、の意で、説法の時に天から降る花を言う。
 結句「散るかとぞ見る」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形の「見る」で結ぶ。雪を花に見立てている。

みのりのには:仏法を説く場、法会の庭
もんぼふ:仏法を聞くこと
作者
中原清重
出典
千載和歌集
前の歌
待ち出でていかにうれしく思ほえん 二十日余りの山の端の月
次の歌
望月の雲隠れけんいにしへの あはれを今日の空に知るかな