草の糸に貫く白玉と見えつるは
秋の結べる露にぞありける
- 歌の意味
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草の糸に貫いた白玉と見えたのは、秋が結んだ露であったのだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 270
詞書「題しらず」
草の糸に貫いた白玉と見えたのは、秋が結んだ露であったと詠んだ歌である。草の葉に連なって光る露を、糸に通した白玉に見立て、秋の美しさを表している。
秋歌上の巻末に置かれている。巻頭の第二百十七首が立秋の風で秋の訪れを告げたのに対し、巻末の本歌は草に結ぶ露で秋の深まりを示し、巻頭と巻末が呼応している。
作者の藤原守文は平安時代中期の官人で、後撰和歌集に歌が採られているが、詳しい経歴はあまり伝わらない。
初句「草の糸に」は、草の糸に、の意で、細く伸びた草の葉や茎を糸に見立てている。字余りである。
二句「貫く白玉と」は、通した白玉と、の意で、糸に通した真珠を思わせている。
三句「見えつるは」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、見えたのは、の意である。
四句「秋の結べる」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、秋が結んでいる、の意である。「結ぶ」は「糸」「貫く」の縁語で、露が置く意の「結ぶ」を重ねている。
結句「露にぞありける」は、露であったのだ、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「ける」が係り結びをなす。本巻の第二百四十二首、第二百六十三首に続いて露を見立てて詠み、巻を閉じている。
しらたま:白い美しい玉、真珠
ぬく:糸などを通してつらねる
むすぶ:露が置く、また糸を結ぶ
- 作者
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藤原守文
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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心もて生ふる山田のひつぢ穂は 君守らねど刈る人もなし
- 次の歌
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秋霧の立ちぬる時はくらぶ山 おぼつかなくぞ見えわたりける