わたつみの底のありかは知りながら
かづきて入らん浪の間ぞなき
- 歌の意味
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海の底のありかは知っていながら、潜って入っていけるような波の絶え間がないことだ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 655
詞書「あり所は知りながら、え逢ふまじかりける人につかはしける」
海の底のありかは知っていながら、潜って入っていく波の絶え間がない、と詠んだ歌である。居場所は分かっていても近づく隙のない相手を、波の絶えない海の底にたとえている。
詞書によれば、居場所は知っているものの、逢うことのできそうにない人に送った歌である。
作者の藤原兼茂は、藤原利基の子で、藤原兼輔の兄にあたり、参議を務めた。
初句「わたつみの」は、海の、の意である。本巻の第六百十八首も初句に「わたつみ」を置いている。
二句「底のありかは」は、海の底のありかは、の意で、相手の居場所のたとえである。
三句「知りながら」は、知っていながら、の意である。
四句「かづきて入らん」は、潜って入っていく、の意で、「ん」は婉曲を表す。
結句「浪の間ぞなき」は、波の絶え間がない、の意で、「ぞ」は強めの係助詞、連体形「なき」で結ぶ係り結びとなっている。人目の絶え間がないことを響かせている。
わたつみ:海、海の神
かづく:水に潜る
なみのま:波の絶え間
- 作者
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藤原兼茂
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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かげろふに見しばかりにや浜千鳥 行方も知らぬ恋にまどはん
- 次の歌
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つらしとも思ひぞ果てぬ涙川 流れて人を頼む心は