行く水の瀬ごとにふまんあとゆゑに
頼むしるしをいづれとか見ん
- 歌の意味
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流れゆく水の瀬ごとに踏んでいく跡のように、あちこちに送るあなたの手紙の跡だから、私を頼みにしているというしるしを、どれだと見たらよいのか。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 696
詞書「返し」
流れる水の瀬ごとに踏んでいく跡なのだから、頼みにするしるしをどれと見たらよいのか、と詠んだ歌である。前歌の千鳥の跡を受け、あちこちの女に手紙を送るあなたの跡のどれが本心か分からないと、相手の浮気心を皮肉っている。
前歌の第六百九十五首に対する返しで、前歌の「頼む」「ふみ」「あと」を受けて切り返している。
作者の「おほつ舟」は、おほつぶねと呼ばれた女性で、女房名と考えられる。経歴は詳しく伝わらない。
初句「行く水の」は、流れゆく水の、の意である。
二句「瀬ごとにふまん」の「ふま」は、瀬を「踏ま」の意に、手紙の意の「文」を響かせた掛詞で、瀬ごとに踏んでいく、の意である。
三句「あとゆゑに」の「あと」は、足跡と、手紙の筆跡を掛けた掛詞で、前歌の四句「あと」を受けている。
四句「頼むしるしを」は、頼みにしているというしるしを、の意で、前歌の二句「頼むを知れと」に応じている。
結句「いづれとか見ん」は、どれだと見たらよいのか、の意で、「か」は疑問の係助詞、連体形「ん」で結ぶ係り結びとなっている。
ふむ:瀬を「踏む」意に、手紙の意の「文」を響かせる
あと:足跡の意と、筆跡を掛ける
しるし:証拠、目印
- 作者
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おほつぶね
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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浜千鳥頼むを知れとふみ初むる あとうち消つな我を越す浪
- 次の歌
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つまにおふることなし草を見るからに 頼む心ぞ数まさりける