いづ方に立ち隠れつつ見よとてか
思ひくまなく人のなりゆく
- 歌の意味
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どこに身を隠しながら見ていろというのだろうか。隠れる物陰もないほどに、思いやりもなくあの人は変わってゆく。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 748
詞書「あひ知りて侍りける女の、心ならぬやうに見え侍りければつかはしける」
どこに隠れて見ていろというのか、思いやりもなくあの人は変わってゆく、と詠んだ歌である。隠れる物陰もないほどあからさまに冷たくなってゆく女の様子を、皮肉をこめて嘆いている。
詞書によれば、親しくしていた女が、心ならずも冷たくなったように見えたので送った歌である。
作者の「藤原のちかけの朝臣」は、藤原ちかげという人物である。経歴は詳しく伝わらない。
初句「いづ方に」は、どちらに、どこに、の意である。
二句「立ち隠れつつ」は、身を隠しながら、の意である。
三句「見よとてか」は、見ていろというのか、の意で、「か」は疑問の係助詞である。
四句「思ひくまなく」の「くま」は、思いやりの意の「思ひ隈」と、物陰の意の「隈」を掛ける掛詞で、二句の「立ち隠れ」と縁を持っている。
結句「人のなりゆく」は、あの人が変わってゆく、の意で、三句の「か」を受けて連体形「なりゆく」で結ぶ係り結びとなっている。
くま:物陰の意の「隈」と、思いやりの意の「思ひ隈」を掛ける
- 作者
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藤原ちかげ
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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荒かりし波の心はつらけれど すこしに寄せし声ぞ恋しき
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つらきをも憂きをもよそに見しかども 我が身に近き世にこそありけれ