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つらきをも憂きをもよそに見しかども
我が身に近き世にこそありけれ

歌の意味
人の薄情さもつらさも、よそごととして見てきたけれど、それは我が身に近い男女の仲のことであったのだ。
鑑賞
巻第十一 恋歌三 749

詞書「男の心やうやう離れ方に見えゆきければ」
 薄情もつらさもよそごとと見てきたが、我が身に近い世の中のことであった、と詠んだ歌である。人の身の上と思っていた恋の苦しみが、自分の身に降りかかってきた驚きと嘆きを述べている。
 詞書によれば、男の心が次第に離れてゆくように見えたので詠んだ歌である。
 作者の土左は、土佐という呼び名の女性で、女房名と考えられる。経歴は詳しく伝わらない。

 初句「つらきをも」は、薄情さも、の意である。
 二句「憂きをもよそに」は、つらさもよそごととして、の意である。
 三句「見しかども」は、見てきたけれど、の意である。
 四句「我が身に近き」は、我が身に近い、の意で、二句の「よそ」と対をなしている。
 結句「世にこそありけれ」は、世の中のことであったのだ、の意で、「世」は男女の仲をいう。「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。

よ:世の中、男女の仲
作者
土左
出典
後撰和歌集
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いづ方に立ち隠れつつ見よとてか 思ひくまなく人のなりゆく
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