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咲きそめて幾世経ぬらん桜花
色をば人に飽かず見せつつ

歌の意味
咲き始めてからどれほどの世を経たのだろうか、桜花は。その色を人々に飽きることなく見せ続けて。
鑑賞
巻第一 春歌 44

詞書「賀の御屏風に」
 桜はいったい何代の昔から咲き続けて、人々に飽きることなくその色を見せてきたのだろうかと、桜の久しさを讃える歌である。詞書によれば、賀の御屏風に添えた歌であり、毎年変わらず咲く桜の長い命に、祝われる人の長寿を重ねている。
 作者の「藤原千景」は平安時代中期の歌人で、伝記の詳細は明らかでない。

 初句「咲きそめて」は、咲き始めて、の意である。
 二句「幾世経ぬらん」は、「らん」が現在推量で、どれほどの世を経たのだろうかと推し量り、二句切れである。
 三句「桜花」は、呼びかけの対象として置かれる。
 四句「色をば人に」は、桜の色を人々に、の意である。
 結句「飽かず見せつつ」は、「つつ」が反復継続を表し、毎年見せ続けてきたことを示す。

いくよ:どれほどの年月
作者
藤原千景
出典
拾遺和歌集
前の歌
春はなほ我にて知りぬ花盛り 心のどけき人はあらじな
次の歌
春来ればまづぞうち見る石上 めづらしげなき山田なれども