また去りし秋は来ぬれど見し人の
心はよそになりもゆくかな
- 歌の意味
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一度去った秋はまためぐって来たけれど、親しく逢った人の心は、よそよそしく遠ざかっていくことだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 841
詞書「心ざしおろかに見えける人につかはしける」
去った秋はまためぐって来たが、逢った人の心はよそになっていく、と詠んだ歌である。めぐり来る秋と、戻らずに離れていく人の心とを対比させ、心変わりを嘆いている。
詞書によれば、愛情がおろそかに見えた人に送った歌である。次歌の第八百四十二首は源是茂による返しで、二首で贈答となっている。秋の景物を詠む一連の二首目である。
作者の「なかきがむすめ」は平中興女である。平中興の娘で、父の中興は国守などを務めた官人である。大和物語には僧浄蔵との恋が語られている。
初句「また去りし」は、一度去った、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「秋は来ぬれど」は、秋は再びやって来たけれども、の意で、「ど」は逆接を表す。
三句「見し人の」は、親しく逢った人の、の意である。
四句「心はよそに」は、心はよそよそしく、の意で、めぐり来る秋と離れていく心を対比させている。
結句「なりもゆくかな」は、なっていくことだ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。
よそ:無関係なこと、疎遠なこと
- 作者
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平中興女
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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花すすきほに出づることもなきものを まだき吹きぬるあきの風かな
- 次の歌
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君を思ふ心長さは秋の夜に いづれまさると空に知らなん