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ひとり寝る時は待たるる鳥の音も
まれに逢ふ夜はわびしかりけり

歌の意味
一人で寝る時には早く鳴けと待たれる鶏の声も、まれに逢う夜には、つらく恨めしいものであった。
鑑賞
巻第十三 恋歌五 895

詞書「題しらず」
 一人寝の時には待ち遠しい鶏の声も、まれに逢う夜には恨めしいものだった、と詠んだ歌である。同じ鶏の声が、一人寝の夜と逢う夜とでまったく違って聞こえることを対比し、逢瀬の少なさと別れのつらさを詠んでいる。
 一人寝の長い夜を早く明けよと待つ心と、まれな逢瀬の夜が明けるのを惜しむ心が、鶏の声を軸に反転した構図で示されている。
 作者の小野小町姉は、小野小町の姉と伝えられる人物で、詳しい伝は未詳である。

 初句「ひとり寝る」は、一人で寝る、の意で、恋人の訪れのない夜を表している。
 二句「時は待たるる」は、その時には待たれる、の意で、「るる」は自発の助動詞「る」の連体形である。
 三句「鳥の音も」は、夜明けを告げる鶏の声も、の意である。
 四句「まれに逢ふ夜は」は、たまにしか逢えない夜には、の意で、二句の「時は」と対になっている。
 結句「わびしかりけり」は、つらいものであった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表している。

とりのね:夜明けを告げる鶏の鳴き声
作者
小野小町姉
出典
後撰和歌集
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