もろともにいざとは言はで死出の山
いかでか一人越えんとはせし
- 歌の意味
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一緒にさあ行こうとも言わずに、死出の山を、どうして一人で越えようとなさったのか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1248
詞書「人のもとより、久しう心地わづらひてほとほとしくなんありつると言ひて侍りければ」
一緒にさあとも言わずに、死出の山をどうして一人で越えようとしたのか、と詠んだ歌である。長患いで死にかけたと知らせてきた人に、自分を置いて一人で逝こうとしたのかと恨む形で、深い情愛と安堵とを伝えている。
詞書によれば、ある人のもとから、長く病を患って危うく死ぬところだったと言ってきたので、詠んだ歌である。
作者の閑院大君は、源宗于の娘とされる女房歌人で、閑院の御とも呼ばれた。
初句「もろともに」は、一緒に、の意である。
二句「いざとは言はで」は、さあ行こうとも言わずに、の意である。
三句「死出の山」は、死者が越えて行くという冥途の山、の意である。
四句「いかでか一人」は、どうして一人で、の意で、「か」は疑問の係助詞である。
結句「越えんとはせし」は、越えようとしたのか、の意で、四句の「か」を受けて連体形「せし」で結ぶ係り結びとなっている。
しでのやま:死者が越えて行くという冥途の山
ほとほとし:危うく死にそうである
- 作者
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閑院大君
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ながらへば人の心も見るべきを 露の命ぞ悲しかりける
- 次の歌
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おしなべて峰も平らになりななん 山の端なくは月も隠れじ