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ながらへば人の心も見るべきを
露の命ぞ悲しかりける

歌の意味
生き長らえたならば、あの人の心の行く末も見届けられるだろうに、露のようにはかない命が悲しいことだ。
鑑賞
巻第十七 雑歌三 1247

詞書「心にもあらぬことを言ふころ、男の扇に書きつけ侍りける」
 生き長らえればあの人の心も見届けられるのに、露のような命が悲しい、と詠んだ歌である。本心を見せない男の心の行く末を見届けたいと思いつつ、はかない我が命ではそれもかなわないと嘆いている。
 詞書は前の歌と同じで、男が本心にもないことを言うころ、男の扇に書きつけた歌である。前歌と一連をなしている。
 作者の「土左」は土佐と呼ばれた女房で、詳しい伝は未詳である。

 初句「ながらへば」は、生き長らえたならば、の意で、「ば」は仮定を表す。
 二句「人の心も」は、あの人の心も、の意で、前歌の四句「人の心の」と同じ語である。
 三句「見るべきを」は、見届けられるだろうに、の意で、「を」は逆接を表す。
 四句「露の命ぞ」は、露のようにはかない命が、の意で、「ぞ」は強意の係助詞である。
 結句「悲しかりける」は、悲しいことだ、の意で、四句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。

ながらふ:生き長らえる
つゆのいのち:露のようにはかない命
作者
土佐
出典
後撰和歌集
前の歌
身に寒くあらぬものからわびしきは 人の心の嵐なりけり
次の歌
もろともにいざとは言はで死出の山 いかでか一人越えんとはせし