あらたまの年越えくらし常もなき
初鶯の音にぞなかるる
- 歌の意味
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年を越して日々を暮らし、無常なこの世で、初鶯の鳴く音につけても、声をあげて泣かれてしまうことだ。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1406
詞書「先坊失せたまひての春、大輔につかはしける」
年を越して暮らし、無常な世で、初鶯の鳴く音につけても声をあげて泣かれる、と詠んだ歌である。先坊が亡くなって年が改まり、春を告げる初鶯の声を聞くにつけても、主を失った悲しみに泣かずにはいられないと訴えている。
詞書によれば、先坊が亡くなったのちの春に、大輔に送った歌である。先坊は、醍醐天皇の皇太子で、即位することなく若くして亡くなった保明親王を指す。次歌は大輔の返しで、二首は贈答の一組となっている。
作者の「はるかみの朝臣のむすめ」は藤原玄上の娘である。詳しい伝は未詳である。
初句「あらたまの」は、「年」にかかる枕詞である。
二句「年越えくらし」は、年を越して日々を暮らし、の意である。
三句「常もなき」は、無常な、の意で、四句の「初鶯」とともに、移ろう世の中をいう。
四句「初鶯の」は、その春初めて鳴く鶯の、の意である。
結句「音にぞなかるる」の「なか」は、鶯が「鳴か」と、人が「泣か」を掛けた掛詞で、「るる」は自発を表す。「ぞ」を受けて連体形「るる」で結ぶ係り結びとなっている。次歌の初句「音に立てて」に受けられている。
なく:鶯が「鳴く」意と、人が「泣く」意を掛ける
せんばう:前の皇太子、ここでは保明親王
- 作者
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藤原玄上の娘
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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昨日まで千代と契りし君を我が 死出の山路に尋ぬべきかな
- 次の歌
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音に立ててなかぬ日はなし鶯の 昔の春を思ひやりつつ