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音に立ててなかぬ日はなし鶯の
昔の春を思ひやりつつ

歌の意味
声をあげて泣かない日はない。鶯が鳴くように、親王のいらした昔の春を思いやりながら。
鑑賞
巻第二十 慶賀歌 1407

詞書「返し」
 声をあげて泣かない日はない、鶯のように昔の春を思いやりながら、と詠んだ歌である。前歌の「音にぞなかるる」を受け、初鶯の時に限らず、先坊のいらした昔の春を思い出して、毎日声をあげて泣いていると答えている。
 前歌の藤原玄上の娘の歌に対する返しである。
 作者の大輔は、平安時代中期の女房歌人とみられるが、詳しい伝は未詳である。

 初句「音に立てて」は、声をあげて、の意で、前歌の結句「音に」を受けている。
 二句「なかぬ日はなし」の「なか」は、鶯が「鳴か」と、人が「泣か」を掛けた掛詞で、前歌の結句「なかるる」に応じている。ここで句切れとなる。
 三句「鶯の」は、鶯のように、の意で、前歌の四句「初鶯」を受けている。
 四句「昔の春を」は、先坊のいらした昔の春を、の意である。
 結句「思ひやりつつ」は、思いやりながら、の意で、「つつ」は継続を表す。二句と倒置になっている。

なく:鶯が「鳴く」意と、人が「泣く」意を掛ける
作者
大輔
出典
後撰和歌集
前の歌
あらたまの年越えくらし常もなき 初鶯の音にぞなかるる
次の歌
もろともにおきゐし秋の露ばかり かからむものと思ひかけきや