古典和歌stream

悲しさの慰むべくもあらざりつ
夢のうちにも夢と見ゆれば

歌の意味
悲しさが慰められることもなかった。夢の中でも、これは夢だとわかって見えたので。
鑑賞
巻第二十 慶賀歌 1421

詞書「返し」
 悲しさが慰められることもなかった、夢の中でも夢と見えたので、と詠んだ歌である。前歌の、夢の間だけでも慰められただろうという思いやりに対し、夢の中でさえこれは夢だとわかっていたので、少しも慰めにならなかったと答えている。
 前歌の藤原玄上の娘の歌に対する返しである。
 作者の大輔は、平安時代中期の女房歌人とみられるが、詳しい伝は未詳である。

 初句「悲しさの」は、悲しさが、の意である。
 二句「慰むべくも」は、慰められることも、の意で、前歌の二句「慰めつらむ」を受けている。
 三句「あらざりつ」は、なかった、の意で、「つ」は完了を表す。ここで句切れとなる。
 四句「夢のうちにも」は、夢の中でも、の意で、前歌の四句「夢」を受けている。
 結句「夢と見ゆれば」は、夢と見えたので、の意で、「ば」は原因、理由を表す。四句と同じ「夢」を重ねている。

なぐさむ:心が晴れる、慰められる
作者
大輔
出典
後撰和歌集
前の歌
時の間も慰めつらむ覚めぬ間は 夢にだに見ぬ我ぞ悲しき
次の歌
かけてだに我が身の上と思ひきや 来む年春の花を見じとは