かけてだに我が身の上と思ひきや
来む年春の花を見じとは
- 歌の意味
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少しでも我が身の上のことと思っただろうか。来年の春の花を見ることがないとは。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1422
詞書「在原としはるが身まかりにけるを聞きて」
少しでも我が身の上と思っただろうか、来年の春の花を見ないとは、と詠んだ歌である。在原としはるの死を聞き、来年の春の花を見ることなく世を去るとは、亡き人自身も思いもかけなかっただろうと、人の命のはかなさを嘆いているとみられる。
詞書によれば、在原としはるが亡くなったのを聞いて詠んだ歌である。本巻の第千三百八十七首も、三句「思ひきや」と結句「とは」の倒置で、思いもかけない死を詠んでいる。
作者の伊勢は、伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵を受け、のちに敦慶親王との間に中務を生んだ。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。
初句「かけてだに」は、心にかけて少しでも、の意である。
二句「我が身の上と」は、我が身の上のことと、の意である。
三句「思ひきや」は、思っただろうか、いや思いもしなかった、の意で、「や」は反語を表す。ここで句切れとなる。
四句「来む年春の」は、来年の春の、の意で、字余りとなっている。
結句「花を見じとは」は、花を見ることがないとは、の意で、「じ」は打消の推量を表す。三句と倒置になっている。
かく:心にかける
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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悲しさの慰むべくもあらざりつ 夢のうちにも夢と見ゆれば
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なく声に添ひて涙はのぼらねど 雲の上より雨と降るらむ