道知らぬものならなくにあしひきの
山ふみ迷ふ人もありけり
- 歌の意味
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道を知らないわけでもないのに、山道を踏み迷うように、手紙の届け先を迷う人もいるのだった。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1205
詞書「大輔が曹司に、敦忠朝臣の物へつかはしける文を持てたがへたりければ、つかはしける」
道を知らないわけでもないのに、山道を踏み迷う人もいるのだった、と詠んだ歌である。敦忠がほかの所へ送った手紙が誤って届いたことを、「文」と「踏み」を掛けて山道に迷うさまにたとえ、軽くからかっている。
詞書によれば、敦忠がよそへ送った手紙を、使いが取り違えて大輔の局に持ってきたので、大輔が敦忠に送った歌である。次歌は敦忠の返しで、二首は贈答の一組となっている。
作者の大輔は、後撰和歌集の時代の女房歌人で、源弼の娘とされる。
初句「道知らぬ」は、道を知らない、の意である。
二句「ものならなくに」は、ものではないのに、の意で、「なくに」は逆接を表す。
三句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。次歌も三句に同じ枕詞を置いて応じている。
四句「山ふみ迷ふ」の「ふみ」は、「踏み」と「文」を掛けた掛詞で、山道を踏み迷う意と、手紙の行き先を迷う意を重ねている。次歌の結句「ふみ迷ふべき」に受けられている。
結句「人もありけり」は、人もいるのだった、の意で、「けり」は気づきを表す。
ふみまよふ:「踏み迷ふ」の意と、「文」が行き先を迷う意を掛ける
もてたがふ:取り違えて持って行く
- 作者
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大輔
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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悲しきも憂きも知りにしひとつ名を 誰を分くとか思ひ捨つべき
- 次の歌
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白樫の雪も消えにしあしひきの 山路を誰かふみ迷ふべき