悲しきも憂きも知りにしひとつ名を
誰を分くとか思ひ捨つべき
- 歌の意味
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悲しみもつらさも共に知った、同じ名で呼ばれる仲であるのに、誰を分け隔てして思い捨てることがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1204
詞書「返し」
悲しみもつらさも共に知った同じ名の仲なのに、誰を分け隔てして思い捨てようか、と詠んだ歌である。前歌の大輔の不安に応じ、同じ主に仕えて悲しみを分かち合った者どうし、見捨てることなどないと慰めている。
前歌の大輔の歌に対する、五節の師の返しとみられる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「悲しきも」は、悲しいことも、の意で、前歌の二句「悲しきものを」を受けている。
二句「憂きも知りにし」は、つらいことも知った、の意で、前歌の初句「憂けれども」を受けている。
三句「ひとつ名を」は、同じ名を、の意で、同じ主に仕えた者として、同じ名で呼ばれる仲であることをいう。
四句「誰を分くとか」は、誰を分け隔てするというのか、の意で、「か」は反語の係助詞である。
結句「思ひ捨つべき」は、思い捨てることがあろうか、いやない、の意で、四句の「か」を受けて連体形「べき」で結ぶ係り結びとなっている。前歌の結句「思ひ捨つらん」に答えている。
わく:区別する、分け隔てする
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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憂けれども悲しきものをひたぶるに 我をや人の思ひ捨つらん
- 次の歌
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道知らぬものならなくにあしひきの 山ふみ迷ふ人もありけり