白樫の雪も消えにしあしひきの
山路を誰かふみ迷ふべき
- 歌の意味
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白樫に積もった雪もすっかり消えてしまった山道を、誰が踏み迷うことがあろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌三 1206
詞書「返し」
白樫の雪も消えた山道を、誰が踏み迷うだろうか、と詠んだ歌である。道を覆う雪もない山路で迷うはずはないと言い返し、手紙が届いたのは取り違えではないと、大輔への思いをほのめかしているとみられる。
前歌の大輔の歌に対する敦忠の返しである。
作者の「敦忠朝臣」は藤原敦忠である。左大臣藤原時平の三男で、権中納言に至った。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「逢ひ見てののちの心にくらぶれば」の歌が採られている。
初句「白樫の」は、白樫の木の、の意で、常緑の樫の枝に雪が積もるさまを思わせる。
二句「雪も消えにし」は、雪もすっかり消えてしまった、の意で、道を隠すものが何もないことをいう。
三句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞で、前歌の三句と同じ枕詞を置いて応じている。
四句「山路を誰か」は、山道を誰が、の意で、「か」は反語の係助詞である。
結句「ふみ迷ふべき」の「ふみ」は、「踏み」と「文」を掛けた掛詞で、踏み迷うはずがあろうか、いやない、の意である。四句の「か」を受けて連体形「べき」で結ぶ係り結びとなっている。前歌の四句「山ふみ迷ふ」をそのまま受けている。
しらかし:樫の一種、常緑の高木
ふみまよふ:「踏み迷ふ」の意と、「文」が行き先を迷う意を掛ける
- 作者
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藤原敦忠
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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道知らぬものならなくにあしひきの 山ふみ迷ふ人もありけり
- 次の歌
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言ふ事のたがはぬものにあらませば 後憂き事と聞こえざらまし