- 歌の意味
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陸奥の武隈の松を見ながら心を慰めようか。千年も栄えるあなたの御庇護に慣れ親しんできた身なので。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 338
詞書「陸奥守にて下り侍りける時、三条太政大臣の餞し侍りければ、詠み侍りける」
千年の松のようなあなたの庇護に慣れ親しんできたので、任地では陸奥の武隈の松を見ながら心を慰めようかと詠む歌である。主の長寿と繁栄を千年の松にたとえて祝いつつ、その庇護を離れて遠国へ下る寂しさを表している。詞書によれば、作者が陸奥守として下る時、三条太政大臣藤原頼忠が餞別の宴を催したので詠んだ歌である。
作者の「藤原為順」は、詞書によれば陸奥守を務めた官人であるが、伝の詳細は明らかでない。
初句「武隈の」は、陸奥国の歌枕の武隈で、根元から二本に分かれた松で知られる。
二句「松を見つつや」は、松を見ながら、の意で、「や」は疑問の係助詞である。前歌の第三百三十七首の生の松原に続き、松の歌枕が詠まれる。
三句「慰めん」は、慰めようか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形「ん」で結ぶ。ここで句切れとなり、倒置によって理由を後に示している。
四句「君が千年の」は、あなたの千年にわたる、の意で、千年を生きる松に頼忠の長寿を重ねている。
結句「影にならひて」は、御庇護に慣れ親しんで、の意で、「影」は松の木陰と、主の庇護とを重ねている。
たけくま:陸奥国の歌枕。二本に分かれた松で知られる
かげ:木陰。転じて人の庇護
ならふ:慣れ親しむ
- 作者
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藤原為順
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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昔見しいきの松原こと問はば 忘れぬ人もありと答へよ
- 次の歌
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便りあらばいかで都へ告げやらん 今日白河の関は越えぬと