朝ぼらけひぐらしの声聞こゆなり
こや明け暮れと人の言ふらん
- 歌の意味
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夜明け方に、ひぐらしの声が聞こえてくる。これを人は「明け暮れ」と言うのだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 雑歌上 467
詞書「山寺にまかりける暁に、ひぐらしの鳴き侍りければ」
夜明け方にひぐらしの声が聞こえる、これを人は「明け暮れ」と言うのだろうかと詠む歌である。詞書から、山寺に出かけた暁にひぐらしが鳴いたので詠んだ歌とわかる。夕暮れに鳴くものとされる「日暮らし」の名を持つ蝉が明け方に鳴くことを興じ、夜明けに「日暮らし」を聞くことを「明け暮れ」の語に結びつけた機知の歌である。
作者の「左大将済時」は藤原済時である。小一条左大臣藤原師尹の子で、左大将、大納言を務め、小一条大将と呼ばれた。娘の娍子は三条天皇の皇后となった。
初句「朝ぼらけ」は、夜がほのぼのと明ける頃、の意である。
二句「ひぐらしの声」は、ひぐらしの鳴き声、の意である。「ひぐらし」は蝉の「蜩」と、一日を暮らす意の「日暮らし」とを掛けた掛詞である。
三句「聞こゆなり」は、聞こえてくる、の意で、「なり」は聞こえたことから推定する助動詞である。ここで句切れとなる。
四句「こや明け暮れと」は、これを明け暮れと、の意で、「こ」は此れ、「や」は疑問の係助詞である。明けに「日暮らし」を聞くことを「明け暮れ」と結びつけている。
結句「人の言ふらん」は、人は言うのだろうか、の意で、係助詞「や」を受けて連体形の「らん」で結んでいる。
ひぐらし:蝉の蜩と、一日を暮らす意の日暮らしを掛ける
あさぼらけ:夜がほのぼのと明ける頃
- 作者
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藤原済時
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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うち忍びいざすみの江の忘れ草 忘れて人のまたや摘まぬと
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葦間より見ゆる長柄の橋柱 昔の跡のしろべなりけり