九重の内だに明かき月影に
荒れたる宿を思ひこそやれ
- 歌の意味
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宮中の内でさえこれほど明るい月の光に、荒れ果てた我が家はどれほど照らされているだろうかと、思いやられることだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1105
詞書「中宮の内におはしましける時、月の明かき夜歌よみ侍りける」
宮中でさえこれほど明るい月の光なのだから、さえぎるもののない荒れた我が家はどれほど照らされているだろうかと、思いをはせる歌である。詞書から、中宮が内裏にいらした頃、月の明るい夜に詠んだ歌とわかる。宮中の明るい月を眺めつつ、遠く離れた荒れた我が家に心を寄せている。
作者の「善滋為政」は慶滋為政である。賀茂氏から慶滋の姓に改めた一族の人で、文章博士を務めた漢学者である。
初句「九重の」は、宮中の、の意で、王城の門が九重であったことから宮中をいう。次歌の第千百六首の「ももしきの大宮」と、宮中で月を見る点で並んでいる。
二句「内だに明かき」は、宮中の内でさえ明るい、の意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる副助詞である。
三句「月影に」は、月の光に、の意である。
四句「荒れたる宿を」は、荒れ果てた我が家を、の意である。
結句「思ひこそやれ」は、思いやられることだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて、已然形「やれ」で結ぶ係り結びである。
ここのへ:九重。宮中、皇居
おもひやる:思ひやる。遠く離れたものに思いをはせる
- 作者
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慶滋為政
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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帰りにし雁ぞ鳴くなるむべ人は 憂き世の中を背きかぬらん
- 次の歌
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ももしきの大宮ながら八十島を 見る心地する秋の夜の月