藤衣あひ見るべしと思ひせば
まつにかかりて慰めてまし
- 歌の意味
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喪服の藤衣を着ている今、亡き人にまた逢えると思うのならば、藤が松にかかるように、待つことにすがって心を慰めもしようものを。
- 鑑賞
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巻第二十 哀傷 1295
詞書「思ふ妻に後れて嘆くころ、詠み侍りける」
またあの人に逢えると思うのならば、藤が松にかかるように、待つことにすがって心を慰めもしようにと詠む歌である。詞書から、愛する妻に先立たれて嘆いていた頃の歌とわかる。藤衣の「藤」の縁で、藤のつるが松にかかることを持ち出し、「松」に「待つ」を掛けて、もう二度と逢えない妻を思い、待つ望みさえない嘆きを詠んでいる。
作者の大江為基は、大江斉光の子で、学問の家である大江氏の出である。
初句「藤衣」は、喪服、の意で、藤の縁で四句の「まつにかかりて」を導いている。本巻の第千二百九十一首から第千二百九十三首の喪服の歌と、同じ語を共有している。
二句「あひ見るべしと」は、また逢うことができると、の意で、亡き妻との再会をいう。
三句「思ひせば」は、思うのならば、の意で、「せ」は過去の助動詞「き」の未然形とされ、反実仮想を表す。
四句「まつにかかりて」は、「まつ」が藤のかかる「松」と、「待つ」を掛ける掛詞である。
結句「慰めてまし」は、慰めもしようものを、の意で、「まし」は反実仮想の助動詞で、三句の「せば」と呼応している。
まつ:藤のかかる「松」と、「待つ」を掛ける
ふぢごろも:藤衣。喪服
おくる:後る。先立たれる
- 作者
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大江為基
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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人なしし胸の乳房をほむらにて 焼くすみぞめの衣着よ君
- 次の歌
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年経れどいかなる人か床古りて あひ思ふ人に別れざるらん