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薫る香の絶えせぬ春は梅の花
吹きくる風やのどけかるらむ

歌の意味
薫る香りが絶えることのない春は、梅の花に吹いてくる風がのどかだからなのだろうか。
鑑賞
巻第一 春歌上 18

詞書「永保二年二月后の宮にて、梅花久薫といへる心をよみ侍りける」
 永保二年(1082)二月、后の宮で「梅花久しく薫る」という題で詠んだ歌である。梅の香りが途絶えることなく漂い続ける春は、梅の花に吹いてくる風がのどかで、花を散らさないからだろうか、と香りの続く理由を風に求めている。題の「久しく薫る」を、穏やかな春風と結びつけて表している。
 作者の「久我前太政大臣」は源雅実である。右大臣源顕房の子で、太政大臣に至った。久我に別荘を営んだことから久我太政大臣と呼ばれ、村上源氏久我家の祖とされる。

 初句「薫る香の」は、梅の花の薫る香りをいう。
 二句「絶えせぬ春は」は、絶えることのない春は、の意で、題の「久しく」を表す。
 三句「梅の花」は、香りの源を示し、四句の「吹きくる風」の向かう先となる。
 四句「吹きくる風や」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らむ」と係り結びをなす。
 結句「のどけかるらむ」は、のどかであるからだろうか、の意である。風が穏やかで花を散らさないことを、香りの絶えない理由として推し量っている。

たえす:絶える、途切れる
作者
源雅実
出典
千載和歌集
前の歌
梅が枝に降り積む雪は鶯の 羽風に散るも花かとぞ見る
次の歌
今よりは梅咲く宿は心せむ 待たぬに来ます人もありけり