時鳥待つは久しき夏の夜を
寝ぬに明けぬと誰か言ひけん
- 歌の意味
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時鳥を待つ身にはこんなにも長い夏の夜であるのに、寝る間もなく明けてしまうなどと、いったい誰が言ったのだろう。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 148
詞書「仁和寺の御子のもとにて、郭公の歌五首よみ侍りける時、よめる」
仁和寺の親王のもとで、時鳥の歌を五首詠んだ折の一首である。夏の夜は短く、寝る間もなく明けてしまうと言われるが、時鳥の声を待つ身には夏の夜はこんなにも長い、いったい誰が短いなどと言ったのか、と詠む。夏の夜の短さという通念を逆手にとり、時鳥を待ちわびる心の長さを表している。ここから時鳥を詠む歌が長く続く。
作者の「按察使公通」は藤原公通である。権中納言藤原通季の子で、按察使を兼ね、権大納言に至った。
本歌から第百六十七首までの二十首は、時鳥を詠む一連である。待つ心、初音、一声、遠ざかる声など、さまざまな面から時鳥を詠み継いでいる。
初句「時鳥」は、初夏に渡来して鳴く鳥で、その初音を待ちわびることが夏の歌の大きな主題であった。
二句「待つは久しき」は、待つ身には長い、の意である。
三句「夏の夜を」は、短いとされる夏の夜を、の意である。
四句「寝ぬに明けぬと」の「寝ぬ」の「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形、「明けぬ」の「ぬ」は完了の助動詞である。寝る間もないうちに明けてしまう、という通念をいう。
結句「誰か言ひけん」の「か」は疑問の係助詞で、「けん」と連体形で結ぶ。誰が言ったのだろうか、と通念に異を唱える。次歌の第百四十九首も、時鳥を待って寝ない夜を詠む。
ほととぎす:初夏に渡来して鳴く鳥で、その初音が待ち望まれた
みこ:親王
- 作者
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藤原公通
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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神山の麓に馴れしあふひ草 引き別れても年ぞ経にける
- 次の歌
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二声と聞かでややまむ時鳥 待つに寝ぬ夜の数は積もりて