夕月夜いるさの山の木隠れに
ほのかにも鳴く時鳥かな
- 歌の意味
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夕方の月が入ってゆく入佐の山の木陰に隠れて、かすかに鳴いている時鳥であることよ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 163
詞書は前の歌に続き「郭公のうたとてよみ侍りける」
前歌と同じく「時鳥」を題として詠んだ歌である。夕方の月が沈んでゆく入佐の山の木陰に隠れて、時鳥がかすかに鳴いている、と詠む。「いるさ」に月が「入る」意を掛け、薄れてゆく夕月の光と、木隠れのほのかな声とを重ねて、夏の夕べのおぼろな情趣を描いている。
作者の「権大納言宗家」は藤原宗家である。内大臣藤原宗能の子で、権大納言に至った。神楽や笙に優れた。
初句「夕月夜」は、夕方に出る月をいう。本巻の第百四十首も同じ初句で、夕月の光を詠む。
二句「いるさの山の」の「いるさ」は、但馬国の歌枕「入佐山」と、月が「入る」意とを掛ける。
三句「木隠れに」は、木の陰に隠れて、の意である。
四句「ほのかにも鳴く」は、かすかに鳴く、の意である。本巻の第百五十首「ほのかにぞする」も時鳥のかすかな声を詠む。
結句「時鳥かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、一首の主題を最後に示す。
いるさのやま:但馬国の歌枕「入佐山」と、月が「入る」意を掛ける
こがくれ:木の陰に隠れること
- 作者
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藤原宗家
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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名残なく過ぎぬなるかな時鳥 去年語らひし宿と知らずや
- 次の歌
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時鳥聞きも分かれぬ一声に 四方の空をもながめつるかな