いつの間に筧の水の氷るらむ
さこそ嵐の音の変はらめ
- 歌の意味
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いつの間に筧の水が凍ったのだろう。それでこそ嵐の音も変わったのだろう。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 395
詞書「山家初冬といへる心をよめる」
山家初冬の題で詠んだ歌である。いつの間に筧の水が凍ったのだろう、それでこそ嵐の音も変わって聞こえたのだろう、と詠む。山の住まいで、筧を伝う水音が途絶えて嵐の音ばかりが際立つことに気づき、そこから水の凍ったことを悟るという、耳から冬をとらえた歌である。
作者の「藤原孝善」は平安時代中期から後期の官人で歌人であるが、詳しい伝は明らかでない。
本巻の巻頭の第三百八十七首も「いつの間に」と、思いがけず水が凍ったことへの驚きを詠む。巻頭歌が岩間の流れを、本歌が山家の筧を取り上げ、同じ驚きを異なる場所で詠んでいる。
初句「いつの間に」は、本巻の巻頭の第三百八十七首の三句と同じ語で、思いがけない変化への驚きを示す。
二句「筧の水の」の「筧」は、竹や木をつないで山の水を引く樋である。
三句「氷るらむ」の「らむ」は原因を推量する助動詞で、いつの間に凍ったのだろう、と問う。ここで句切れとなる。
四句「さこそ嵐の」の「さ」は、そのように、の意で、上の句の水の凍ったことを指す。「こそ」は強意の係助詞で、結句の「め」と已然形で結ぶ。
結句「音の変はらめ」の「め」は推量の助動詞「む」の已然形で、それで嵐の音も変わったのだろう、と納得する。前々歌の第三百九十三首も風の音の変化に冬を聞き取る。
かけひ:竹や木をつないで山の水を引く樋
- 作者
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藤原孝善
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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我妹子が上裳の裾の水波に 今朝こそ冬はたちはじめけれ
- 次の歌
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外山吹く嵐の風の音聞けば まだきに冬の奥ぞ知らるる