我妹子が上裳の裾の水波に
今朝こそ冬はたちはじめけれ
- 歌の意味
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いとしい人の上裳の裾に描かれた水の波が立つように、今朝こそ冬は立ち始めたことだ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 394
詞書は前の歌に続き「百首歌召しける時、初冬の心をよませ給うける」
久安百首の初冬の題で詠んだ歌である。いとしい人の上裳の裾の水の波に、今朝こそ冬が立ち始めた、と詠む。裳の裾に描かれた波の模様が「立つ」ことと、冬が「立つ」こととを重ね、華やかな衣装の景物に立冬の朝を詠みこんだ技巧的な一首である。
作者の「花薗左大臣家小大進」は、花園左大臣源有仁の家に仕えた女房である。菅原在良の娘で、崇徳院の久安百首の作者の一人である。
第三百九十首から第三百九十四首までの五首は、崇徳院の久安百首から採られた初冬の歌である。久安百首は、崇徳院が藤原顕輔、藤原俊成らに召した百首歌で、久安六年(1150)に詠進された。
初句「我妹子が」の「我妹子」は、男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語である。
二句「上裳の裾の」の「上裳」は、女性が腰から下にまとう裳のうち、上に重ねて着るものをいう。
三句「水波に」の「水波」は、裳の裾に描かれた水の波の模様と解される。上三句は「たち」を導く序詞の働きをする。
四句「今朝こそ冬は」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の「けれ」と已然形で結ぶ。まさに今朝、と立冬の日を強める。
結句「たちはじめけれ」の「たち」は、波が立つ意と、冬が立つ、すなわち冬が始まる意とを掛ける掛詞である。「けれ」は詠嘆の助動詞「けり」の已然形で、四句の「こそ」を受けて結ぶ。
わぎもこ:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
うはも:女性が腰から下にまとう裳のうち、上に重ねて着るもの
みづなみ:水の波、またその模様
たつ:波が立つ意と、冬が立つ(始まる)意を掛ける
- 作者
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花園左大臣家小大進
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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秋のうちはあはれ知らせし風の音の 激しさ添ふる冬は来にけり
- 次の歌
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いつの間に筧の水の氷るらむ さこそ嵐の音の変はらめ