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秋のうちはあはれ知らせし風の音の
激しさ添ふる冬は来にけり

歌の意味
秋のうちはしみじみとした情趣を知らせた風の音が、激しさを加える冬がやって来たことだ。
鑑賞
巻第六 冬歌 393

詞書は前の歌に続き「百首歌召しける時、初冬の心をよませ給うける」
 久安百首の初冬の題で詠んだ歌である。秋の間はしみじみとした情趣を知らせてくれた風の音が、いっそう激しさを加える冬がやって来た、と詠む。同じ風の音の変化によって、秋から冬への季節の移り変わりを耳でとらえている。
 作者の「前参議教長」は藤原教長である。大納言藤原忠教の子で、参議に至った。能書家として知られ、保元の乱で崇徳院方について常陸に流された。崇徳院の久安百首の作者の一人である。
 第三百九十首から第三百九十四首までの五首は、崇徳院の久安百首から採られた初冬の歌である。久安百首は、崇徳院が藤原顕輔、藤原俊成らに召した百首歌で、久安六年(1150)に詠進された。

 初句「秋のうちは」は、秋の間は、の意で、冬と対比する。
 二句「あはれ知らせし」の「あはれ」はしみじみとした情趣、「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、秋の風が物の哀れを知らせた、と振り返る。
 三句「風の音の」は、秋も冬も同じ風の音である。本巻の第三百九十五首、第三百九十六首も、嵐の音の変化に冬を聞き取る。
 四句「激しさ添ふる」の「添ふ」は加える意で、秋のあわれに代わって激しさが加わることをいう。
 結句「冬は来にけり」は、本巻の第三百八十九首と同じ結句で、「けり」は詠嘆の助動詞である。

そふ:加える、増す
作者
藤原教長
出典
千載和歌集
前の歌
澄む水を心なしとは誰か言ふ 氷ぞ冬の初めをも知る
次の歌
我妹子が上裳の裾の水波に 今朝こそ冬はたちはじめけれ