外山吹く嵐の風の音聞けば
まだきに冬の奥ぞ知らるる
- 歌の意味
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人里近い山に吹く嵐の風の音を聞くと、まだ冬になったばかりなのに、早くも冬の奥深さが思い知られることだ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 396
詞書「題しらず」
人里近い山に吹く嵐の音を聞くと、冬はまだ始まったばかりなのに、早くもその奥深い厳しさが思い知られる、と詠む。冬の入り口で聞く激しい風の音から、これから訪れる冬の深まりを先取りして感じ取っている。
作者の「和泉式部」は越前守大江雅致の娘である。和泉守橘道貞の妻となったことからこの名で呼ばれる。一条天皇の中宮彰子に仕え、情熱的な恋の歌で知られる。中古三十六歌仙の一人で、小倉百人一首にも歌が採られている。
本巻の第三百九十三首、第三百九十五首に続き、風の音の変化に冬を聞き取る歌である。
なお本文の二句は「貴のかせの」とあり、読み仮名の行の「あらしのかせの」と一致しない。「貴」は「嵐」の誤記とみられるため、ここでは読み仮名の行に従って「嵐」と読む。
初句「外山吹く」の「外山」は、人里に近い山、端山である。
二句「嵐の風の」は、山から吹きおろす激しい風をいう。
三句「音聞けば」の「ば」は順接の確定条件で、音を聞くと、の意である。前歌の第三百九十五首の「嵐の音」を受け、本歌でも嵐の音が冬を告げる。
四句「まだきに冬の」の「まだきに」は、まだその時でないのに早くも、の意である。
結句「奥ぞ知らるる」の「奥」は、冬の深まった先、奥深いところをいう。「ぞ」は強意の係助詞で、自発の助動詞「る」の連体形「るる」と結ぶ。自然と思い知られる、の意である。
とやま:人里に近い山、端山
おく:奥深いところ、行き着く先
- 作者
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和泉式部
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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いつの間に筧の水の氷るらむ さこそ嵐の音の変はらめ
- 次の歌
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初霜や置きはじむらん暁の 鐘の音こそほの聞こゆなれ