初霜や置きはじむらん暁の
鐘の音こそほの聞こゆなれ
- 歌の意味
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初霜が置きはじめたのだろうか。暁の鐘の音が、ほのかに聞こえてくる。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 397
詞書「百首歌たてまつりける時、初冬の歌によみ侍りける」
百首歌を詠進した折、初冬の歌として詠んだもので、崇徳院の久安百首の歌である。暁の鐘の音がほのかに聞こえてくる、初霜が置きはじめたのだろうか、と詠む。霜が降りると鐘が鳴るという中国の故事をふまえ、暁の鐘の音から目に見えない初霜を思いやっている。
作者の「大炊御門右大臣」は藤原公能である。左大臣藤原実能の子で、右大臣に至った。崇徳院の久安百首の作者の一人である。
中国の古書「山海経」に、豊山に九つの鐘があり、霜が降りると鳴るという話があり、霜と鐘とを結びつけて詠む先例となった。次歌の第三百九十八首も同じ故事をふまえ、二首が対をなしている。
初句「初霜や」の「初霜」はその冬はじめて降りる霜である。「や」は疑問の係助詞で、二句の「らん」と連体形で結ぶ。
二句「置きはじむらん」の「置く」は霜が降りる意、「らん」は現在推量の助動詞で、見えない霜を推し量る。ここで句切れとなる。
三句「暁の」は、夜明け前のまだ暗い時分をいう。次歌の第三百九十八首も「暁かけて」と同じ時分を詠む。
四句「鐘の音こそ」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の「なれ」と已然形で結ぶ。霜は見えないが鐘の音こそ聞こえる、と示す。
結句「ほの聞こゆなれ」の「ほの」は、かすかに、の意で、「なれ」は音による推定の助動詞「なり」の已然形である。
はつしも:その冬はじめて降りる霜
おく:霜や露が降りる
あかつき:夜明け前のまだ暗い時分
- 作者
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藤原公能
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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外山吹く嵐の風の音聞けば まだきに冬の奥ぞ知らるる
- 次の歌
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高砂の尾上の鐘の音すなり 暁かけて霜や置くらん