花咲きし野辺の気色も霜枯れぬ
これにてぞ知る旅の日数は
- 歌の意味
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花が咲いていた野辺の様子も霜に枯れてしまった。これによって知るのだ、旅に出てからの日数の長さを。
- 鑑賞
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巻第八 羈旅歌 511
詞書は前の歌に続き「百首歌召しける時、旅歌とてよませ給うける」
久安百首の旅の題の歌である。花が咲いていた野辺の様子も霜に枯れてしまった、これによって旅に出てからの日数の長さを知るのだ、と詠む。出立のころに花盛りであった野が、いつのまにか霜枯れの景色に変わっているのを見て、旅の長さを知る驚きと寂しさを表している。
作者の「大炊御門右大臣」は藤原公能である。左大臣藤原実能の子で、右大臣に至った。後徳大寺左大臣藤原実定の父である。
久安百首の旅の歌の一連の三首目である。なお本文の三句は「,かれぬ」とあって文字が欠けているため、読み仮名の行の「しもかれぬ」によって補った。
初句「花咲きし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、花が咲いていた、の意である。旅立ったころの季節を示す。
二句「野辺の気色も」の「気色」は様子、景色の意である。
三句「霜枯れぬ」の「ぬ」は完了の助動詞で、霜に枯れてしまった、の意である。ここで句切れとなる。初句の花盛りと三句の霜枯れとが対比され、季節の移ろいを示す。
四句「これにてぞ知る」の「ぞ」は強意の係助詞で、「知る」と連体形で結ぶ。ここで句切れとなる。
結句「旅の日数は」は、旅に出てからの日数の長さは、の意で、四句と倒置の関係にある。本巻の第五百二首も、夜ごとの寒さに初雪を迎える旅を詠み、季節の移ろいで旅の長さを示している。
けしき:様子、ありさま
しもがる:霜にあたって草木が枯れる
- 作者
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藤原公能
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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松が根の枕も何かあだならむ 玉の床とて常の床かは
- 次の歌
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更級や姨捨山に月見ると 都に誰か我を知るらん