霜枯れの籬の内の雪見れば
菊よりのちの花もありけり
- 歌の意味
-
霜に枯れた籬の内に積もった雪を見ると、菊よりも後に咲く花もあったのだ。
- 鑑賞
-
巻第六 冬歌 449
詞書「雪の歌とてよめる」
雪の歌として詠んだものである。霜に枯れた籬の内に積もった雪を見ると、菊よりも後に咲く花もあったのだ、と詠む。菊が咲き終わると、もう花はないとされてきたが、籬に積もる雪を花と見れば、菊の後にも花があったと興じている。
作者の「藤原資隆朝臣」は院政期の官人で歌人である。故実書「簾中抄」の著者とされる。
第四百四十五首から第四百六十七首まで、雪を詠む歌が続く。和漢朗詠集に採られた元稹の詩句に、花の中で菊ばかりを愛するのではない、この花が咲き終えるともう花がないからだ、という意のものがあり、本歌はそれをふまえて、雪という菊の後の花を見出している。
初句「霜枯れの」は、霜にあたって枯れた、の意である。本巻の第四百二十八首も同じ初句で始まる。
二句「籬の内の」の「籬」は、竹や柴で目を粗く編んだ垣である。菊が植えられる場所としてよく詠まれる。
三句「雪見れば」の「ば」は順接の確定条件で、雪を見ると、の意である。
四句「菊よりのちの」は、菊が咲き終えた後の、の意で、元稹の詩句をふまえる。
結句「花もありけり」の「花」は雪を花に見立てたものである。「けり」は詠嘆の助動詞で、花もあったのだ、と気づきを示す。本巻の第四百六十六首も雪を花に見立てる。
しもがる:霜にあたって草木が枯れる
まがき:竹や柴で目を粗く編んだ垣
- 作者
-
藤原資隆
- 出典
-
千載和歌集
- 前の歌
-
消ゆるをや都の人は惜しむらん 今朝山里に払ふ白雪
- 次の歌
-
たとへても言はむ方なし月影に 薄雲かけて降れる白雪