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たとへても言はむ方なし月影に
薄雲かけて降れる白雪

歌の意味
何かにたとえようとしても、言い表しようがない。月の光の中に、薄雲をかけたようにして降っている白雪は。
鑑賞
巻第六 冬歌 450

詞書「題しらず」
 何かにたとえようとしても言い表しようがない、月の光の中に薄雲をかけたようにして降っている白雪は、と詠む。月の光と、それを薄くさえぎる雲、そこに舞い降りる雪とが溶け合った、ほの白い夜の景色の美しさに、言葉を失う感動を表している。
 作者の「仁和寺後入道法親王(覚性)」は鳥羽天皇の皇子である。仁和寺の第五世門跡となり、紫金台寺御室と呼ばれた。
 第四百四十五首から第四百六十七首まで、雪を詠む歌が続く。

 初句「たとへても」は、何かにたとえようとしても、の意である。
 二句「言はむ方なし」は、言いようがない、の意で、ここで句切れとなる。下の句と倒置になっている。
 三句「月影に」の「月影」は月の光である。
 四句「薄雲かけて」は、薄い雲をかけて、の意で、月の光を薄雲がおおうさまをいう。
 結句「降れる白雪」は体言止めである。本巻の第四百四十五首と同じ結句で、言い表しようのない景を最後に示す。

つきかげ:月の光
作者
覚性法親王
出典
千載和歌集
前の歌
霜枯れの籬の内の雪見れば 菊よりのちの花もありけり
次の歌
深山路はかつ降る雪に埋もれて いかでか駒の跡をたづねん