夜もすがら花の匂ひを思ひやる
心や峰に旅寝しつらむ
- 歌の意味
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一晩中、山の花の美しさを思いやっていた私の心は、峰で旅寝をしていたのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 59
詞書「夜思山花といへる心を」
「夜山の花を思ふ」という題で詠んだ歌である。一晩中、遠い山に咲く花の美しさに思いを馳せていたので、身は家にありながら、心は峰へ出かけて旅寝をしていたのだろうか、と詠む。夜通し花を思う心のありさまを、心だけの旅寝として表している。
作者の「仁和寺後入道法親王(覚性)」は覚性法親王である。鳥羽天皇の皇子で、出家して仁和寺の門跡となった。崇徳院、後白河院の弟にあたる。
初句「夜もすがら」は、一晩中、の意で、題の「夜」を表す。
二句「花の匂ひを」の「匂ひ」は、花の美しい色合いや香りをいう。
三句「思ひやる」は、遠く離れたものに思いを馳せる、の意である。
四句「心や峰に」の「や」は疑問の係助詞で、結句の「らむ」と係り結びをなす。本巻の第四十二首が心が四方の山辺に散ると詠んだのに通じ、身を離れて山へ向かう心を詠む。
結句「旅寝しつらむ」の「つ」は完了の助動詞、「らむ」は現在推量の助動詞の連体形で、旅寝をしていたのだろうか、の意となる。
おもひやる:遠く離れたものに思いを馳せる
たびね:旅先で寝ること
- 作者
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覚性法親王
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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神垣の三室の山は春来てぞ 花の白木綿かけて見えける
- 次の歌
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咲きぬやと知らぬ山路に尋ね入る 我をば花のしをるなりけり