玉川と音に聞きしは卯の花を
露の飾れる名にこそありけれ
- 歌の意味
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玉川という名で評判に聞いていたのは、卯の花を露が玉のように飾っていることから付いた名であったのだ。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 141
詞書「卯花の歌とてよみ侍りける」
「卯の花」を題として詠んだ歌である。玉川という名を噂に聞いていたが、それは卯の花に置いた露が玉のように花を飾っていることから付いた名であったのだ、と詠む。卯の花の名所として知られる玉川の名を、「玉」と露の白い玉とに結びつけて解き明かした機知の歌である。
作者の「仁和寺後入道法親王」は覚性法親王である。鳥羽天皇の第五皇子で、仁和寺に入って出家し、仁和寺の御室として重んじられた。和歌を好み、歌会を催して歌人たちを集めた。
玉川は六つの玉川として各地にあるが、なかでも摂津国三島の玉川は卯の花の名所として知られ、歌枕として多く詠まれた。
なお本文の四句は「露のかきれる」とあり、読み仮名の行の「つゆのかされる」と一致しない。本文の「かきれる」では意が通らないため、本文の誤写と見て、ここでは読み仮名の行に従い「飾れる」と解する。
初句「玉川と」の「玉川」は、卯の花の名所として知られる歌枕である。
二句「音に聞きしは」の「音に聞く」は評判に聞く、噂に聞く意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「卯の花を」は、四句の「飾れる」の対象を示す。
四句「露の飾れる」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、露が飾っている、の意である。露の白い玉を「玉川」の「玉」に結びつける。本巻の第百三十九首、第百四十首が卯の花を月光と取り合わせたのに対し、本歌は露と取り合わせる。
結句「名にこそありけれ」の「こそ」は係助詞で、「けれ」と已然形で結ぶ。玉川という名の由来に気づいた心を示す。
たまがは:各地にある川の名で、摂津国三島の玉川は卯の花の名所として知られる歌枕
おとにきく:評判に聞く、噂に聞く
かざる:美しく飾る
- 作者
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覚性法親王
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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夕月夜ほのめく影も卯の花の 咲けるわたりはさやけかりけり
- 次の歌
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見で過ぐる人しなければ卯の花の 咲ける垣根や白河の関