見で過ぐる人しなければ卯の花の
咲ける垣根や白河の関
- 歌の意味
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見ないで通り過ぎる人はいないので、卯の花の咲いているこの垣根は、行き交う人を留める白河の関なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 142
詞書「白河院鳥羽殿におはしましける時、男ども歌合し侍りけるに、卯花をよめる」
白河院が鳥羽殿に住んでいた頃、近臣たちが歌合を催した折に、「卯の花」を題として詠んだ歌である。卯の花の咲く垣根を見ずに通り過ぎる人は一人もいない、だからこの垣根は、行き交う人を留める白河の関なのだろうか、と詠む。人を足止めする関所の働きを花の美しさに重ね、卯の花の白さと「白河」の「白」とを響き合わせている。
作者の「藤原季通朝臣」は権大納言藤原宗通の子である。太政大臣藤原伊通の弟にあたり、琵琶や箏など管弦の名手としても知られた。崇徳院の久安百首の作者の一人である。
白河の関は陸奥国の入口に置かれた関で、後拾遺和歌集の能因の歌「都をば霞とともに立ちしかど秋風ぞ吹く白河の関」以来、名高い歌枕となった。
初句「見で過ぐる」の「で」は打消の接続助詞で、見ないで通り過ぎる、の意である。
二句「人しなければ」の「し」は強意の副助詞で、已然形に「ば」が付いた確定条件となる。人はいないので、の意である。
三句「卯の花の」は、四句の「咲ける」の主語を示す。
四句「咲ける垣根や」の「や」は疑問を表し、垣根は〜なのだろうか、の意となる。本巻の第百三十九首と同じく垣根の卯の花を詠む。
結句「白河の関」は体言止めで、人を留める関に垣根を見立てる。「白河」の「白」は卯の花の白さと響き合う。次歌の第百四十三首は卯の花の白さを白雪に見立てる。
しらかはのせき:陸奥国の入口に置かれた関で、歌枕
すぐ:通り過ぎる
- 作者
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藤原季通
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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玉川と音に聞きしは卯の花を 露の飾れる名にこそありけれ
- 次の歌
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卯の花のよそめなりけり山里の 垣根ばかりに降れる白雪