夕月夜ほのめく影も卯の花の
咲けるわたりはさやけかりけり
- 歌の意味
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夕方の月のほのかな光も、卯の花の咲いているあたりでは、くっきりと明るいのだった。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 140
詞書「暮見卯花といへる心をよみ侍りける」
「暮見卯花(暮れに卯の花を見る)」という題で詠んだ歌である。夕暮れの月はまだ光が弱くほのかであるが、白い卯の花の咲いているあたりだけは、その光がくっきりと明るく見える、と詠む。前歌が卯の花そのものを月光に見立てたのに対し、本歌は卯の花の白さが月光を照り返して明るさを増すさまをとらえている。
作者の「右近大将実房」は三条実房である。内大臣藤原公教の子で、のちに左大臣に至った。千載和歌集の成立の頃は右近衛大将であった。
初句「夕月夜」は、夕方に出る月、またはその月の出ている夕べをいう。本巻の第百六十三首も同じ「夕月夜」を初句とする。
二句「ほのめく影も」の「ほのめく」はかすかに見える意、「影」は月の光である。
三句「卯の花の」は、四句の「咲ける」の主語を示す。
四句「咲けるわたりは」の「わたり」は、あたり、付近の意で、「は」は他と区別して示す。
結句「さやけかりけり」の「さやけし」は、はっきりと明るい意で、「けり」は気づきを表す。前歌の第百三十九首と同じく、卯の花と月光とを取り合わせる。
ゆふづくよ:夕方に出る月、また月の出ている夕べ
ほのめく:かすかに見える
わたり:あたり、付近
- 作者
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三条実房
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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むらむらに咲ける垣根の卯の花は 木の間の月の心地こそすれ
- 次の歌
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玉川と音に聞きしは卯の花を 露の飾れる名にこそありけれ