訪ふ人に思ひよそへて見る月の
曇るは帰る心地こそすれ
- 歌の意味
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訪ねてくる人になぞらえて見ている月が曇るのは、その人が帰っていくような気持ちがすることだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 980
詞書「月為友といへる心を」
「月を友とする」という題で詠んだ歌である。訪ねてくる人になぞらえて見ている月が曇るのは、その人が帰ってしまうような心地がする、と詠む。訪れる人もない寂しい住まいで月を友として眺める心から、月が雲に隠れることを友の帰ってしまう寂しさに重ねている。
作者の「仁和寺後入道法親王」は覚性法親王である。鳥羽天皇の皇子で、仁和寺に入って出家し、仁和寺の門跡となった。
本巻の第九百七十八首から続く月の歌は、本歌以下第千二十三首までまとまって配列されている。
初句「訪ふ人に」は、訪ねてくる人に、の意である。
二句「思ひよそへて」の「よそふ」は、なぞらえる意で、訪ねてくる人になぞらえて、の意である。
三句「見る月の」は、眺めている月が、の意で、題の「月を友とする」心を表す。
四句「曇るは帰る」は、月が曇ることを、友が帰っていくことに重ねている。
結句「心地こそすれ」の「こそ」は強意の係助詞で、「すれ」は已然形で結ぶ係り結びである。そんな気持ちがすることだ、の意である。
よそふ:なぞらえる
とふ:訪れる、訪ねる
- 作者
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覚性法親王
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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秋を経て光をませと思ひしに 思はぬ月の影にもあるかな
- 次の歌
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ささなみや国つ御神のうらさびて 古き都に月ひとりすむ