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吹雪する長等の山を見渡せば
尾上を越ゆる志賀の浦波

歌の意味
吹雪の吹く長等山を見渡すと、まるで志賀の浦の波が峰を越えてゆくかのようだ。
鑑賞
巻第六 冬歌 461

詞書「摂政、右大臣に侍りける時、百首歌よませ侍りけるとき、雪の歌とてよめる」
 摂政九条兼実が右大臣であった時に百首歌を詠ませた折、雪の歌として詠んだものである。吹雪の吹く長等山を見渡すと、志賀の浦の波が峰を越えてゆくかのようだ、と詠む。山を白く吹き越えてゆく吹雪を、ふもとの琵琶湖の白波が山の峰まで打ち寄せるさまに見立てた、壮大な見立ての歌である。
 作者の「藤原良清」は九条兼実の家の百首歌に加わった歌人であるが、詳しい伝は明らかでない。
 第四百四十五首から第四百六十七首まで、雪を詠む歌が続く。

 初句「吹雪する」の「吹雪」は、激しい風とともに降る雪である。本巻の第四百五十五首も吹雪を詠む。
 二句「長等の山を」の「長等の山」は近江国の長等山で、琵琶湖の西岸にある歌枕である。
 三句「見渡せば」の「ば」は順接の確定条件で、見渡すと、の意である。
 四句「尾上を越ゆる」の「尾上」は山の峰の上である。吹雪が峰を越えるさまを、波が峰を越えるものと見立てる。
 結句「志賀の浦波」は体言止めである。「志賀の浦」は琵琶湖の西岸、長等山のふもとの湖岸で、そこに立つ白波に吹雪を見立てている。

ふぶき:激しい風とともに降る雪
ながら:近江国の長等山で、琵琶湖の西岸にある
をのへ:山の峰の上
しがのうら:琵琶湖の西岸の湖岸
作者
藤原良清
出典
千載和歌集
前の歌
波間より見えし景色ぞ変はりぬる 雪降りにけり松が浦島
次の歌
降る雪に軒端の竹も埋もれて 友こそなけれ冬の山里