音にのみ聞きしはことの数ならで
名よりも高き布引の滝
- 歌の意味
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噂にばかり聞いていたのは物の数でもなく、実際に見ると名声よりもいっそう高い布引の滝であることよ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌上 1040
詞書「布引の滝を詠める」
布引の滝を詠んだ歌である。噂にだけ聞いていたのは物の数ではなく、名よりも高い布引の滝であることよ、と詠む。かねて評判に聞いていた布引の滝を実際に見ると、その評判など取るに足りないほどで、名声よりもさらに高く見事な滝であったと、実見の感動を詠んでいる。「音」「高き」は滝の縁語で、名高いことと滝の高さを掛けている。
作者の「藤原良清」は平安時代後期の歌人で、伝記の詳細は明らかでない。
本巻の第千三十七首と結句「布引の滝」を共有する。また第千三十五首が音の絶えた滝の名の残ることを詠んだのに対し、本歌は名よりも高い滝の実際の姿を詠み、滝の名をめぐって対照をなしている。滝を詠む歌はこの一首で終わる。
初句「音にのみ」の「音」は、噂、評判の意で、滝の音を響かせる縁語である。
二句「聞きしはことの」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、聞いていたのは、の意である。
三句「数ならで」の「数ならず」は、取るに足りない意で、物の数ではなく、の意である。
四句「名よりも高き」は、名声よりも高い、の意で、滝の高さと名高さを重ねている。本巻の第千三十五首の四句「名こそ流れて」と応じる。
結句「布引の滝」は体言止めで、本巻の第千三十七首の結句と同じ句である。
おと:うわさ、評判
かずならず:取るに足りない
ぬのびきのたき:摂津国の生田川上流にある滝、歌枕
- 作者
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藤原良清
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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山人の昔の跡を来て見れば むなしき床を払ふ谷風
- 次の歌
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絶えず立つ室の八島の煙かな いかに尽きせぬおもひなるらん