心をも君をも宿にとどめ置きて
涙とともに出づる旅かな
- 歌の意味
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心も、そしてあなたも家にとどめ置いて、涙とともに出かけてゆく旅であることだ。
- 鑑賞
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巻第七 離別歌 492
詞書「百首歌よみ侍りける時、別れの心をよめる」
百首歌を詠んだ折に、別れの題で詠んだ歌である。心も、そしてあなたも家にとどめ置いて、涙とともに出かけてゆく旅であることだ、と詠む。旅立つ側の立場から、大切なものはすべて家に残し、ただ涙だけを道連れにする心細さを表している。
作者の「僧都覚雅」は右大臣源顕房の子とされる院政期の僧で、僧都に至った。
初句「心をも」の「も」は並列の係助詞で、二句の「君をも」と対になる。本巻の第四百八十九首は心と身を別のものではないと詠み、本歌は心を身から離して宿に残すと詠んで、対照をなす。
二句「君をも宿に」は、あなたをも家に、の意で、旅立つ作者が家に残す相手をいう。
三句「とどめ置きて」は、あとに残しておいて、の意である。字余りの句である。
四句「涙とともに」は、涙だけを道連れにして、の意である。本巻の第四百八十七首も、同行する人のない旅路に涙だけが止まらないと詠み、涙を旅の道連れとする趣向が通じている。
結句「出づる旅かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、出かけてゆく旅であることだ、の意である。
やど:住まい、家
- 作者
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覚雅
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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忍べどもこの別れ路を思ふには から紅の涙こそ降れ
- 次の歌
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待てと言ひて頼めし秋も過ぎぬれば 帰る山路の名ぞかひもなき