旅衣涙の色のしるければ
露にもえこそかこたざりけり
- 歌の意味
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旅の衣は、紅の涙の色がはっきりと表れているので、草の露に濡れたせいだと言い逃れることもできなかった。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 791
詞書「旅恋の心を詠める」
「旅恋」、すなわち旅の途中の恋という題で詠んだ歌である。旅衣は涙の色がはっきりしているので、露のせいにすることもできなかった、と詠む。旅の衣が濡れるのは野の露のためと言いつくろうこともできるが、恋の嘆きで流す血の涙は紅の色に染まるので、露とは見分けられてしまうという趣向で、旅にあって隠しきれない恋の思いを表している。
作者の「僧都覚雅」は右大臣源顕房の子で、権少僧都に至った僧である。
初句「旅衣」は旅の衣で、題の「旅」を示す。
二句「涙の色の」の「涙の色」は、嘆きのあまり流す血の涙の紅の色である。
三句「しるければ」の「しるし」ははっきりしている意で、「ば」は順接の確定条件である。色がはっきりしているので、の意である。
四句「露にもえこそ」の「え」は下に打消を伴って不可能を表す副詞、「こそ」は強意の係助詞である。旅の衣が濡れるのを、野の露のせいにすることもできない、の意となる。
結句「かこたざりけり」の「かこつ」は他のせいにする意、「ざり」は打消の助動詞「ず」の連用形、「けり」は気づきの詠嘆である。四句の「こそ」の結びは已然形「けれ」となるのが通常であるが、本文は「けり」である。
かこつ:他のせいにする、口実にする
たびごろも:旅の衣
- 作者
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覚雅
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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世とともに行く方もなき心かな 恋は道なきものにぞありける
- 次の歌
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満つ潮に末葉を洗ふ流れ葦の 君をぞ思ふうきみしづみみ