世とともに行く方もなき心かな
恋は道なきものにぞありける
- 歌の意味
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いつまでたっても行き場のない心であることよ。恋というものは、たどるべき道のないものであったのだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 790
詞書「中院右大臣、中将に侍りける時、歌合し侍りけるに詠める」
中院右大臣源雅定が中将であった時に催した歌合で詠んだ歌である。いつまでも行き場のない心であることだ、恋は道のないものであった、と詠む。思いをどこへ向ければよいのかわからず、いつまでもさまよう心を、恋には進むべき道がないのだと言い当てることで、恋の出口のなさを表している。
作者の「修理大夫顕季」は藤原顕季である。藤原隆経の子で、白河院の近臣として仕え、修理大夫を務めた。六条藤家の祖で、柿本人麻呂の像を祭る人麻呂影供を始めたことでも知られる。詞書の「中院右大臣」は太政大臣源雅実の子の源雅定で、右大臣に至った。
初句「世とともに」は、いつまでも、絶えず、の意である。
二句「行く方もなき」の「行く方」は、行くべき方向、行き場である。
三句「心かな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
四句「恋は道なき」は、恋はたどるべき道のない、の意で、二句の「行く方もなき」を言い換えて理由づける。
結句「ものにぞありける」の「ぞ」は強意の係助詞で、「ける」と連体形で結ぶ。「ける」は気づきの詠嘆で、ものであったのだ、の意である。
ゆくかた:行くべき方向、行き場
- 作者
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藤原顕季
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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麻手干す東乙女の萱筵 しきしのびても過ぐす頃かな
- 次の歌
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旅衣涙の色のしるければ 露にもえこそかこたざりけり