うれしくも神の誓ひをしるべにて
心をおこす門に入りぬる
- 歌の意味
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うれしいことに、神の誓いを道しるべとして、仏道を求める心を起こすという発心門に入ったことだ。
- 鑑賞
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巻第二十 神祇歌 1268
詞書「熊野に詣で侍りける時、発心門の王子にて詠み侍りける」
熊野に参詣した折、発心門の王子で詠んだ歌である。発心門王子は熊野九十九王子の一つで、ここから熊野本宮の聖域に入るとされた。うれしいことに神の誓いをしるべとして、心を起こす門に入った、と詠む。王子の名の「発心門」を「心をおこす門」と和らげて詠み込み、熊野の神の導きによって、悟りを求める心を起こす門に入った喜びを詠んでいる。
作者の「権中納言経房」は藤原経房である。藤原光房の子で、吉田家の祖となり、のちに権大納言に至った。日記『吉記』を残した。
本巻の第千二百五十八首も熊野参詣の途上の王子で詠んだ歌で、同歌が塩屋王子で神の垂迹を、本歌が発心門王子で神の導きを詠んでいる。
初句「うれしくも」は、うれしいことに、の意である。
二句「神の誓ひを」の「誓ひ」は、衆生を救おうとする熊野の神の誓いである。
三句「しるべにて」の「しるべ」は道案内、手引きの意である。
四句「心をおこす」は、仏道を求める心を起こす、すなわち発心を言い、王子の名の「発心」を和語に言い換えている。
結句「門に入りぬる」の「門」は発心門で、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形である。連体形で止めて詠嘆を込めている。
しるべ:道案内、手引き
ほつしん:悟りを求める心を起こすこと、仏道に入る決意
- 作者
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藤原経房
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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めづらしく御幸をみわの神ならば しるしありまの出で湯なるべし
- 次の歌
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杉が枝を霞籠むれど三輪の山 神のしるしは隠れざりけり