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みしめゆふ肩にとりかけ神南備の
山の榊をかざしにぞする

歌の意味
注連の木綿を肩に取り掛け、神南備山の榊を髪に挿す飾りとすることだ。
鑑賞
巻第二十 神祇歌 1286

詞書「寿永元年大嘗会主基方歌詠みて奉りける時、神楽歌、丹波国神南備山を詠める」
 寿永元年(1182)、安徳天皇の大嘗会で主基方の歌を詠んで奉った時、神楽歌として丹波国の神南備山を詠んだ歌である。みしめの木綿を肩に取り掛け、神南備の山の榊をかざしにする、と詠む。神楽に奉仕する人々が木綿を肩に掛け、榊を髪に挿して舞う姿を描き、神事のおごそかな様子を詠んでいる。なお本文の初句は「みしめゆふ」とあり、読み仮名の行の「みしまゆふ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
 作者の「権中納言兼光」は藤原兼光である。藤原資長の子で、日野家の人である。権中納言に至った。
 本巻の第千二百八十一首も主基方として丹波国の神南備山を詠み、同歌が榊葉を挿して祈る姿を、本歌が榊をかざしにする姿を詠んでいる。また本巻の第千二百七十一首の木綿襷と同じく、神事で肩に掛ける木綿を詠んでいる。

 初句「みしめゆふ」は、神事に用いる注連の木綿の意と解される。読み仮名の行にある「みしまゆふ」は伊豆の三島で産した木綿のことで、肩に掛けるものとして古くから歌に詠まれた。
 二句「肩にとりかけ」は、肩に取って掛け、の意である。本巻の第千二百七十一首の木綿襷と同じく、神事に奉仕する姿を言う。
 三句「神南備の」は丹波国の神南備山で、本巻の第千二百八十一首の二句「神南備山の」と同じ山である。
 四句「山の榊を」は神南備山の榊で、神事に用いるものである。
 結句「かざしにぞする」の「かざし」は髪や冠に挿す飾りで、「ぞ」は強意の係助詞、連体形の「する」で結ぶ。

しめ:神域を示す縄、注連
ゆふ:楮の皮の繊維で作った布、神事に用いる
かざし:髪や冠に挿す花や枝の飾り
作者
藤原兼光
出典
千載和歌集
前の歌
皇をやほよろづよの神もみな 常磐に守る山の名ぞこれ
次の歌
諸神の心に今ぞかなふらし 君を八千代と祈るよごとは