春来れば花見にと思ふ心こそ
野辺の霞とともにたちけれ
- 歌の意味
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春が来ると、花見に行こうと思う心が、野辺に霞が立つのと一緒に、浮き立って出かけていくことだ。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 112
詞書「女ども花見むとて野辺に出でて」
春になると花見に行きたいと思う心が、野辺の霞が立つのとともに浮き立って出かけていくと詠んだ歌である。霞の立つ景に心の弾みを重ね、花見に出かける女たちの華やいだ気分を表している。
詞書によれば、女たちが花見をしようと野辺に出かけたときに詠んだものである。
作者の「典侍よるかの朝臣」は藤原因香である。宇多天皇、醍醐天皇の宮廷に仕え、内侍司の次官である典侍となった女性歌人である。
初句「春来れば」は、春が来ると、の意である。本巻の第九十八首も同じ「春来れば」で始まっている。
二句「花見にと思ふ」は、花見に行こうと思う、の意である。
三句「心こそ」の「こそ」は係助詞で、結句の已然形「けれ」と係り結びをなす。
四句「野辺の霞と」は、野原に立ちこめる霞を示す。本巻の第九十九首、第百十三首にも霞と「たつ」が取り合わされている。
結句「ともにたちけれ」の「たち」は、霞が「立つ」意と、心が浮き立ち出で立つ意の「立つ」を掛けた掛詞である。
たつ:霞が「立つ」意と、心が浮き立ち出で立つ意の「立つ」を掛ける
のべ:野原
- 作者
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藤原因香
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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春深き色にもあるかな住の江の 底も緑に見ゆる浜松
- 次の歌
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我をこそ訪ふに憂からめ春霞 花につけてもたちよらぬかな