- 歌の意味
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春の深まりを思わせる、深い色であることだ。住の江の、水底までも緑に見える浜辺の松は。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 111
詞書「和泉の国にまかりけるに、海のつらにて」
住の江の浜辺の松が水に映り、水底までも緑に見えるさまに、春の深まりを感じた歌である。松の緑の深さと春の深さを重ね、海辺の明るい春景色を描いている。
詞書によれば、和泉国へ下る途中、海のほとりで詠んだものである。住の江は和泉国へ向かう道筋にある摂津国の海辺で、松の名所として知られていた。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「春深き」は、春が深まる意と、色が深い意とをあわせ持ち、二句の「色」へとつないでいる。
二句「色にもあるかな」の「かな」は詠嘆で、深い色であることよ、の意である。ここで句切れとなる。
三句「住の江の」は、摂津国の歌枕で、松の名所として知られる住吉の入り江を示す。
四句「底も緑に」は、水に映った松の影で、水底までも緑に見えることを表す。本巻の第百二十四首も「水底の色さへ深き松が枝」と、水底に映る松の深い色を詠んでおり、対応している。
結句「見ゆる浜松」は体言止めで、初句、二句に対する倒置となっている。
つら:ほとり、岸
すみのえ:摂津国の歌枕、今の大阪市住吉区あたりの入り江
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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春雨の花の枝より流れ来ば なほこそ濡れめ香もや移ると
- 次の歌
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春来れば花見にと思ふ心こそ 野辺の霞とともにたちけれ