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君恋ふる涙の凍る冬の夜は
心とけたる寝やは寝らるる

歌の意味
あなたを恋しく思って流す涙までが凍る冬の夜には、心の打ち解けた眠りなど眠れるだろうか、いや眠れはしない。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 727

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 あなたを恋しく思う涙までも凍る冬の夜には、心がくつろいで眠ることなどできないと詠む歌である。「とけ」に氷が「解け」と心が「打ち解け」を響かせ、涙が凍るほどの寒さに、恋しさに張りつめて安らげない心を重ねている。次歌の第七百二十八首の白雪、第七百二十九首の朝氷と、冬の景物に恋を託す歌が続く。

 初句「君恋ふる」は、あなたを恋しく思う、の意である。
 二句「涙の凍る」は、流す涙が凍る、の意である。
 三句「冬の夜は」は、冬の夜には、の意である。
 四句「心とけたる」は、心の打ち解けた、の意で、「とけ」に二句の涙が凍るのに対して氷が解ける意を響かせている。本巻の第七百二十九首の二句「とくる間もなき」と、氷が解けることと心が打ち解けることを重ねる趣向を共有している。
 結句「寝やは寝らるる」は、眠りなど眠れるだろうか、いや眠れない、の意で、「やは」は反語を表す。係助詞「や」を受けて可能の助動詞「らる」の連体形「らるる」で結ぶ係り結びである。

い:寝。眠り
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
暁の別れの道を思はずは 暮れ行く空はうれしからまし
次の歌
かからでもありにしものを白雪の ひと日もふれば増さる我が恋