かくばかり紅葉づる色の濃ければや
錦たつたの山といふらん
- 歌の意味
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これほどまでに紅葉した色が濃いからだろうか、錦を裁つという名の竜田の山と呼ぶのだろう。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 382
詞書「竜田山を越ゆとて」
これほどまでに紅葉の色が濃いからこそ、錦を裁つという名をもつ竜田山と呼ぶのだろうかと詠んだ歌である。山の名の「竜田」に錦を「裁つ」を重ね、紅葉の濃さに山の名の由来を見いだしている。
詞書によれば、竜田山を越えようとして詠んだものである。前の歌までの竜田山の紅葉の歌が遠くから山を思いやったのに対し、本歌は山を越えながら紅葉を目の当たりにしている。
作者の「とものり」は紀友則である。紀有朋の子で、紀貫之の従兄にあたる。古今和歌集の撰者の一人であったが、完成を見ずに没した。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「久方の光のどけき春の日に」の歌が採られている。
初句「かくばかり」は、これほどまでに、の意である。
二句「紅葉づる色の」の「紅葉づ」は紅葉する意で、紅葉した色が、の意である。
三句「濃ければや」の「や」は疑問の係助詞で、濃いからだろうか、の意である。
四句「錦たつたの」の「たつ」は、錦を「裁つ」意と、地名の「竜田」を掛けた掛詞である。
結句「山といふらん」の「らん」は原因を推量する助動詞で、三句の「や」と係り結びをなし、山と呼ぶのだろうか、の意である。
たつ:錦を「裁つ」意と、地名の「竜田」を掛ける
もみづ:草木の葉が赤や黄に色づく
- 作者
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紀友則
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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遅く疾く色づく山の紅葉葉は 後れ先立つ露や置くらん
- 次の歌
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唐衣たつたの山の紅葉葉は 物思ふ人の袂なりけり