小止みせず雨さへ降れば沢水の
まさるらんとも思ほゆるかな
- 歌の意味
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少しもやまずに雨までも降るので、沢の水が増すように、私の涙も恋しさも増していくのだろうと思われることだ。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 537
詞書「題しらず」
少しもやまずに雨までも降るので、沢の水が増すだろうと思われる、と詠んだ歌である。降り続く雨に増す沢の水に、涙とともにつのる恋の思いを重ねている。
恋の歌のなかに置かれ、雨と沢の水に涙と恋しさを託している。本巻の第五百七十八首も、やまない雨に恋しさの増すことを詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「小止みせず」は、少しもやまずに、の意である。
二句「雨さへ降れば」の「さへ」は添加を表し、涙に加えて雨までも降るので、の意である。
三句「沢水の」は、沢の水が、の意である。
四句「まさるらんとも」は、増すだろうとも、の意で、水が増すことに恋しさがつのることを重ねている。
結句「思ほゆるかな」は、自然に思われることだ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。
をやみ:雨や雪が少しの間やむこと
さはみづ:沢を流れる水
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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今のみと頼むなれども白雲の 絶え間はいつかあらんとすらん
- 次の歌
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夢にだに見ることぞなき年を経て 心のどかに寝る夜なければ